売れるネット広告社 代表取締役社長 CEOの加藤公一レオです。
最近、「D2C」とともによく耳にするようになったのが『P2C』というワードだ。“個人”の知名度や人気を武器にマーケティングができることから脚光を浴びている『P2C』だが、世の中の『P2C』マーケティングを見ていると、ぶっちゃけ「ヘタくそ」と感じることも多い…。
はっきり言って『P2C』はそんなに甘くない!!『P2C』のダメな例や成功事例を踏まえて、成功する『P2C』の条件を紐解いてみよう。
“個人”の影響力を武器にした『P2C』
『P2C(Person to Consumer)』とは、“個人”が企画・制作した商品やサービスを小売店や中間業者を通さず消費者に直接販売する取引形態のことである。特に、SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーが自身のブランドを立ち上げたり、ECサイトを立ち上げたりすることを指すことが多い。
「D2C」との違いは販売主体が“個人”か企業かという点で、「D2C」は企業が販売の主体だが、『P2C』の場合は“Person”の文字通り“個人”が販売の主体となる。ただ、企業がインフルエンサーの『P2C』を支援・プロデュースしたり、インフルエンサーと企業がタッグを組んで商品開発やマーケティングを行ったりする事例もあり、「D2C」と「P2C」の境界線は曖昧な部分もある。
『P2C』の特徴は、なんといっても“個人”の知名度や人気をマーケティングに活用できることだ!インフルエンサーが自身のSNSやブログ、メルマガなどの媒体を通じてブランドの理念や商品のコンセプトを発信すれば、ファンにそのブランドや商品の存在を広く伝えることができる。
このように、『P2C』では“個人”の影響力が武器になるため、失敗するリスクが低いと考えられている。すでに多くのファンがいるインフルエンサーの場合、集客コストをかけなくても一定の売上が見込めるし、SNSなどを介してフォロワーの意見を取り入れながら商品開発ができるからだ。
『P2C』はそんなに甘くない!
『P2C』の流行の背景に、SNSやYouTubeの台頭などで“個人”が影響力を持つ時代になったこと、無料ネットショップ作成サービスの登場で、“個人”でも簡単にECサイトを構築できるようになったことがある。
芸能人やYouTuberなどがプロデュースした『P2C』の華々しい成功事例が喧伝されていることもあって、『P2C』に参入したいと考える人は増えている。“個人”の影響力を武器にすれば、費用や手間をかけなくても集客ができると思っている人も少なくない。
ところが、実際には“個人”の知名度と人気“だけ”で売れるほど『P2C』は甘くない!!いくら“個人”の影響力を武器にするといっても、ダイレクトマーケティングの本質を愚直に実行していかなければならないのは「D2C」と同じだからである!
ところが、実際に世の中の『P2C』を見てみると、“個人”の人気と知名度にあぐらをかいて、ネットのダイレクトマーケティングの基本をおろそかにしているブランドがあまりにも多い!!はっきり言ってしまえばマーケティングが「ヘタくそ」なのである…。
ダメな『P2C』はコレだ!
何が「ヘタくそ」かというと、多くの『P2C』がYouTubeチャンネルなどから無料ネットショップ作成サービスなどで作った「ショップ」に誘導している。
有名なインフルエンサーでもやってしまいがちだが、これは、ネット通販ビジネスで絶対にやってはいけないことである!
なぜなら、商品画像があって、淡々とした商品説明があって、カートボタンがあるだけのショップに誘導しても、瞬発的にURLをクリックしたお客様はそんなサイトでは買わないからだ。
私は常々「ネット広告からショップ(本サイト)に誘導してはいけない!」と言っているが、消費者心理をくすぐる『売れる仕組み』を作らなければならないのは『P2C』も「D2C」も同じなのである!!
成功する『P2C』の条件
① 専用ランディングページに誘導する
先ほど“反面教師”として、YouTubeからショップに誘導している『P2C』の事例を紹介した。
ではどうすればいいかというと、商品ごとに独立したランディングページに誘導するのである!!YouTubeなら「YouTube用のランディングページ」、Instagramなら「Instagram用のランディングページ」、Twitterなら「Twitter用のランディングページ」を制作し、各プラットフォームからそれぞれ専用のランディングページに誘導する。
「ランディングページ」とはWeb版の“チラシ”のようなもので、“瞬発力と勢いで申込ませる”構成になっているセールスレター形式の“縦長”のページのことである。
「D2C」の世界では、新規獲得や引上など、フェーズに応じたランディングページを制作している企業が多いが、『P2C』においてもこうした考え方は共通なのだ。実際に、成功している『P2C』は商材ごとに独立したランディングページを制作して、売上・利益を上げている。
もちろん、ランディングページは別のページに遷移することなく個人情報が入力できる『申込フォーム一体型』にしよう!!
② インフルエンサーと商材に関連性を持たせる
どれだけフォロワーの多いインフルエンサーでも「インフルエンサーの知名度と人気だけで何でも売れる」と思ったら大間違いである!“個人”の影響力を武器にするからこそ、『P2C』は、インフルエンサーと商材に関連性・親和性を持たせることが大事になってくる。
例えば、なかやまきんに君がプロテインを売ったら、「筋トレ」や「運動」を連想させるイメージ通りだから売れるが、美白美容液を売っても誰も買わないだろう。なかやまきんに君に「美容」や「美白」のイメージはないからだ。
『P2C』においては、筋トレのトレーナーならプロテイン、ファッション系YouTuberならファッションブランドなど、「あの人がその商材を出すならいいものなのだろう」と思ってもらえるような商材選びが重要なのである!!
③ 『リピート性』のある商材にする
例えば、毎月1本消費するプロテインと年に1~2回しか購入しないスニーカーとでは、どちらが継続的な売上・利益が見込めるだろうか?もちろん、『リピート性』の高いプロテインである!!
1カ月分5,000円のプロテインを1年間継続してもらえば年間売上は6万円になるが、1足1万円のスニーカーを年に1~2回買ってもらっても、年間売上は1~2万円にしかならない。
「D2C」同様、『P2C』においても、売上・利益を最大化するためには「1人のお客様により多く・より長く買ってもらう」という視点が必要になってくる。つまり、『リピート性』のある商品を継続的に売ることで、LTV(顧客1人あたりの年間購入単価)を上げるという考え方が大切なのだ!!
『リピート性』のある商材なら、ちゃっかり定期コース(サブスク)モデルを取り入れることで、LTVはさらにアップする!
『P2C』の成功事例
私が日本で一番『P2C』をうまくやっていると思っているのが「VALX」だ。「VALX」はボディビルダー・トレーナーの山本義徳氏がプロデュースするブランドで、プロテインなどの健康食品やトレーニングギアなどを展開している。
YouTubeチャンネル「山本義徳 筋トレ大学」の登録者は72.4万人。各動画の概要欄には、イチオシ商品の「EAA9」のランディングページのURLが貼られている。
ボディビル・パワーリフティング界の「レジェンド」と呼ばれ、筋トレ界隈では超有名な山本氏監修であっても、知名度に甘えることなく、しっかりと商品のUSPを訴求し、購入に向けてユーザーを“説得”するコンテンツになっているのだ。
しかも、「EAA(必須アミノ酸)」という、リピート性の高い商材を扱っていて、ランディングページから定期コース(サブスク)に誘導している。先ほど挙げた、成功する『P2C』の条件3つすべてを満たしているのは言うまでもないだろう!
YouTubeチャンネル「山本義徳 筋トレ大学」
https://www.youtube.com/@yoshinori-yamamoto
『P2C』にも『売れる仕組み』は不可欠
「D2C」にしても『P2C』にしても、マーケティングの世界では新しい“バズワード”が生まれると、それが画期的で素晴らしい概念であるかのようにもてはやされることが多い。だが、“個人”の影響力を武器にした『P2C』であっても、売上・利益を最大化するための『仕組み』の重要性は昔ながらの単品通販と同じである!
だからこそ、『P2C』に参入する人は単品通販の世界で蓄積されてきたノウハウを学ぶべきだし、“個人”の知名度や人気にあぐらをかくことなく、『売れる仕組み』を構築し、ダイレクトマーケティングの本質を愚直に実行していってほしい。
加藤公一レオ
株式会社 売れるネット広告社 (東証上場 証券コード9235)
代表取締役社長CEO