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38歳にして運転免許を取りに行って気付いたこと(福本朋哉)

2015.11.10

  • ノウハウ

福本 朋哉

 

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こんにちは。
売れるネット広告社の福本です。


私は38歳ですが、今まで自動車免許を持たずに生きてきました。

昔、テレビのADとかやっていたくせに、免許無しで生き抜いてきました。
それがどれくらいレアなのかというと・・・

 
 

■22歳以上の9割、30代後半男性の96.5%が持っている普通免許


警察庁の運転免許統計によると、平成25年度の運転免許保有者数は8186万人。 同年の総人口が1億2729万人で、22歳以上は9000万人くらいらしいので、 若者の車離れと言われてはいても、運転免許は22歳以上なら9割以上の人が持っている ある意味「当たり前」の資格です。

さらに、35歳~39歳までの男性に限定すると、人口459万に対し、免許保有数は443万。 96.5%の人が持っている計算になります。

様々な事情で免許取得資格を持たない方もいることや、福岡在住という地勢(地方都市であるということ=車依存度が都会よりも高い)も考慮すると、 私のレア度は1%を切るレベルだったはずです。

 
 
 

分かりやすく言えば、

「なんだこのオッサン・・・免許もってねえとかあり得るのかよ・・・マジやべえwwww」

という扱いです。
 

■逃げ続けていた免許取得、決断したのは・・・


38年間も免許なしで生きてくると、ある意味開き直って、その状況をネタ化することに慣れてきて 意地でも取らないでやんよ!身分証なら住基カード最強だぜ!
という思いさえありましたし、教習所と言えば、

「教官にしこたま怒られて死にたくなる。」

「検定をささいなミスで失格にされて死にたくなる。」

「歳を取ってからの教習所通いは、マジでツラくて死にたくなる。」

「高速教習は命がけ。文字通り死にそうになる。」


など

断片的に漏れ聞いてきた情報によって、精神的な疲弊度をもたらし、 心をへし折る施設というイメージが刷り込まれていた私にとって、 この決断は何よりも慎重を期すべきものでしたが、

  • 東京から福岡に転居したこと

  • 弊社社長の「男なら(良い)車に乗れ!」(※1)というバブル世代的価値感をジワジワ刷り込まれたこと

  • 結婚したこと(※2)

  • などの要因から免許取得に踏み切りました。

  •  

■教習所に通って気付いたこと


というわけで、人生の一大決心として、教習所に通い始めました(もちろん、AT限定です)。2ヶ月通っていますが、基本的に土日のみなのでまだ第2段階後半。早ければ11月中に卒業検定まで完了。遅くとも年内には免許取得となるスケジュールです。

さて、今回のテーマである「通い始めてみて」ですが、結果として、いくつも発見や、気付きがありました。

そのうち、私のビジネスに関連した事項をいくつか記したいと思います。

 

1、教育プログラム


教習所の教育プログラムは意外と(?)優れていました。思っていたより効率的な教育システムだと感じました。

一つずつやれることを増やすプロセスである「ハンコ制度」。

第一段階で「車の操作」や「確認の仕方」を教え、第二段階で「安全かつ円滑に走行する方法」や「実際の路上の状況にあわせた判断」を教える「2段階制度」。

階段を1段ずつ上がるように、ハンコを一つもらう度に出来ることが増えていき、最終的には運転者としての心の持ちようや義務感、安全運転のために自分の適正と向き合うといった気持ちの問題にアプローチします。

つまり、まず「基礎技術」「ルーチンワーク」を一定水準に高め、そののちに「精神論」や「判断力」を鍛えるのです。

ビジネスにおける教育論にも適用できると感じました。
特に、新卒社員への教育プログラムへ活用できる部分があると思います。

社会人デビューしたての新卒社員にとって、精神論をいくら語っても無い袖は振れません。
知識も経験もスキルもない新卒社員がいくらやる気だけ出しても、 空回りするだけなのです。

いくら「やる気を出せ!」「考えて動け!」と言っても、引き出しがなければ、何もアウトプットはできません。

運転技術が無い素人に、「安全運転しろ!」と言っても出来ないのと一緒です。

まず、メソッドを教える。やり方・型・プロセス・フローを教える。

それも、一気に全部教えるのではなく、一つずつやれることを増やしてやる。
一気に教えても、人間のメモリーのキャパシティはそんなに多くないようです。

覚えきれずに、結果、都合の良い部分だけ覚え、理解できないことはスル―します。

キャパを超えるインプットは、都合の良い情報だけを取り出させることにつながり、その人の「癖」として偏って定着します。
そうやってある一定ラインの業務が作業的でもいいから出来るようになって初めて、それが武器となるのです。

その武器をもって案件に主体的に取り組ませ、状況に応じた判断や、結果を出すために仕事に取り組む「心持ち」を鍛えていく。

遠回りなようでいて、これが一番近道なのかも知れません。
 

2、コーチング


自動車教習所の「顧客」は大抵が若者。 というかクソガキなので、自動車教習におけるコーチング(指導)について流布している言説には大いに誤解があると感じました。

世間一般に流布している教習所におけるコーチングのイメージとして、

「教官と相性があるから・・・」「キツイ言い方されてムカつく!」「でも最近は優しくなったらしい。ラッキー!」

みたいなことが語られることが多いと思います。

私が感じたのは、

  • 教官との相性など無い(というか関係ない。ゴールはそこじゃない)

  • キツイか優しいかという低レベルの話ではなく、 教官の大半は職業的義務感(いかにちゃんと教えるか)で動いている

  • ということでした。

  •  

当たり前のことです。 これをビジネスに置き換えてみたらすぐにわかります。

「上司と相性が悪くて・・・」

「上司に失敗をキツく怒られた。ムカつく!」

「最近の若者はゆとりだから、優しく指導しないとすぐ辞める」

 

全部低レベルな話です。

本気でビジネスをしているレベルでは、相性なんて本当は関係ないし、 厳しいべき・優しいべきなどというレベルの低い二元論で教育を語ることにも意味はありません。

結果として、本人が何を学んだかが全てです。

もう一つ、コーチング面で私が面白かったのは、 教官によって微妙に言うことが違ったことです。

例えば「速度維持」の方法。
ある教官は「アクセルの踏み方をコントロールして、一定になるように踏み続けろ」と教えてくれ、
別の教官は「アクセルを踏んだり離したりして、オーバーしないようにしろ」と教えてくれました。

検定の審査基準は厳格なはずなのに、なぜか? どっちが正しいのか?
どっちも正しいという仮説に立てば、答えは明白です。

二人の別々の指摘の裏にある本質に気付くことが重要であり、ビジネスの現場における学びと同じ構造です。

上司や先輩によってやり方が異なり、でもゴールは同じ。

本質的にどうすべきかを考えることが重要なのであって、 特定の上司の偏ったやり方を盲目的に実行しても、成長はありません。
 

3、自動車というシステムについて


また、これは余談ですが、自動車という装置に操縦者として関わるという初体験を通じて 特定産業におけるデザインや機能の革新性・イノベーションのスピード、構造的欠陥の克服については 改めて考えさせられました。

自動車が産業として立ち上がって100年も経ち、当たり前の交通インフラになっているのに 運転者が毎回自分自身で首振り確認して、意識を集中し続けないと 容易に事故ってしまうシステムってどうなんだろうと。

死角だらけの鉄のハコ。構造的に見通しの悪い道路。etcetc。

これは自動車だけではなく、ルール、道路のあり方含めて考えられるべき問題ですし、近年になって補完するイノベーションがどんどん出ているようですが、 100年間での革新のスピードとして、早いと言えるのか考えてしまいます(規制も大変なのでしょうが)。

どんなシステムも万能ではないので、欠陥や欠点はあるものです。

ですが、それを克服していくイノベーションに、産業として(企業として)一定のパワーを割いておかないといけません。

事業が好調であればなおさらです。
 

4、なにより、新しいことを学ぶのは楽しいということ


最後に、学びの楽しさも再認識することができました。

38歳のオッサンでも、まだまだ色々なことが学べます。

 
上でいろいろと偉そうに教育論を述べましたが、私自身まだまださまざまなことを学んでいる過程です。

知らなかったことを受け入れ、知識として定着させるプロセス(学び)は快楽であると再認識することができました。

というか学びの喜びを忘れていたことに気付いたというほうが正確かも知れません。
 

学生の頃に通っていたら、この気付きは無かったと思います。

ちなみに教習所は自分の半分くらいの年齢の人たちばかりですが、特に肩身が狭いこともありませんでした。

 

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以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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【参考サイト】
総務省統計局 - 人口推計(平成25年10月1日現在)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2013np/
 
運転免許統計 平成25年版 警察庁交通局運転免許課
https://www.npa.go.jp/toukei/menkyo/pdf/h25_main.pdf
 
 
 
 
【注釈】
 
※1 売れるネット広告社 代表取締役社長加藤公一レオによれば、良い車とは外車のことを指す。特にフォルクスワーゲン、BMW、メルセデスベンツなどのことを言う。
※2 妻に「今度の連休、旅行は不要なのでさっさと免許取りにいけ」と背中を押されたことが決定打となった。

 
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福本 朋哉